学校の王子様!!②
只今19時
椿さんの作った夕飯を食べ終わり一息ついたところ
咲羅は相変わらずベッドに腰をかけてホワイトボードに文字を書き続けている
『本当に大丈夫?』
「大丈夫だよ」
ホワイトボードに書き込まれる咲羅の綺麗な字
俺の顔を伺う目
少し伸びてきた金色の髪
心配そうに俺の袖を掴む指
すべてが愛しい
「さっきから何回目?もう…咲羅心配しすぎ。心配するのは俺よりも咲羅でしょ?」
「…なんで嘘つくの?」
ホワイトボードを手放し、俯く
嘘…か…
「嘘じゃ…ないんだけどな。それより声出すとまた喉が…」
「馬鹿にすんなよ。俺、雅翔の彼女だよ?わからないわけないじゃん。雅翔のこと、気付かないわけないじゃん…」
狡い…狡いよな…
俺は咲羅が苦しんでるとき、辛いとき気付かなかったのに…
なのに…俺は咲羅に気付いてもらって…
心配してもらって…
俺だけなんて…
「咲羅、明日は学校来れるのか…?」
「え、う…うん」
鞄を持って立ち上がると咲羅は戸惑いがちに俺を見つめる
俺は、狡い
「じゃあ明日、いつも通りの時間にくるから」
「え?ちょっと、雅…」
「あんまり喋ると明日喋れなくなるぞ。安静にしてろよな」
「は?」
「じゃあな、咲羅。また明日」
「ちょっと…!」
ドアの向こうで咲羅が俺の名前を呼んだ気がした
あんまり喋るなって言ったのに…
駄目だな…俺…
咲羅に頼ってばっかりじゃねぇか
「雅翔くん」
気配でいることは分かっていたから、声をかけられることは予想していた
「椿さん、すみません」
「許さないけど、今日いつもと何か違うよね。悩み事?」
「大したことではないんですけどね…。ちょっと応えてまして」
「…それは、大したことなんじゃないの?」
「え?」
「ほかの人にとっては大したことじゃなくても、君にとっては大したことなんじゃないの?だからそんなに辛そうな顔してるんでしょ」
「辛そうな…顔…」
椿さんですら気付くってことは、相当酷い顔なんだろうな…
表情にださないようにするのには慣れてるなずなのに
咲羅に関することは、隠せないんだな…俺