学校の王子様!!②
『明日、朝の迎えよろしくね』
椿さんはその後それしか言わず、俺を玄関まで見送った
このあと俺、仕事できんのかな…
振動を伝える機械を握りしめ瞳を閉じる
このまま、投げ出してしまいたい
「あ、雅翔さん発見」
聞き覚えのある声が後ろから投げられた
いや、でも…『雅翔さん』?
雅翔さんなんて呼ぶ奴いたか?
咲羅や裕輝、家族は雅翔だし
中島はおーじ、他は斎藤が基本だし
うざったい秘書は雅翔様だ
「いやー、電話にも出ないから心配だって秘書の方が言ってたけど…、まだこんなところに居たんですね」
黒いウルフの髪に黒スーツ、 身長は170㎝くらいか…?
見た感じ、俺と同じくらいの歳
誰だ?声はどこかで…
「さっきぶりですね、まだ咲羅の家にいたんですか」
「は……?」
さっきぶり?
咲羅を知ってる?
「あ、もしかして俺が誰か解らないんですか?」
敬語を使ってるが俺を馬鹿にしていることがひしひしと伝わってくる
なんなんだ、こいつ…
俺の知っている奴の中でも顔は其れなりに整っている
身長も高い…
こんな奴がいたら忘れるとは思えないし、何より雅翔さんなんて呼ぶ奴だ
仕事関係者だろう…だったら尚のこと忘れるはずがない
こいつ…まさか…
俺の頭の中に一人の顔が浮かぶ
いや、でも…
解らない、けど…あいつ以外にはいないはずだ
「こうすれば、わかるかな?」
胸ポケットから黒縁の眼鏡を取り出す
それをかけた事で、俺の疑問は確信に変わった