オウゴンリツ
Prologue:死ぬる人


そして彼女は、この上なく安らかに息を引き取った。


彼の泣き声だけが部屋に響く。その他に物音は一つしない。


私の成すべきことは施した。
否、私の成せることは施したのだ。


別に私は、彼女を救いたかった訳では無く、また彼を助けたかった訳でも無い。



ただ、自分に課せられた任務を遂行しただけ。
それだけだった。


私は、悪魔なのだろうか。

< 1 / 6 >

この作品をシェア

pagetop