オウゴンリツ
Prologue:死ぬる人
そして彼女は、この上なく安らかに息を引き取った。
彼の泣き声だけが部屋に響く。その他に物音は一つしない。
私の成すべきことは施した。
否、私の成せることは施したのだ。
別に私は、彼女を救いたかった訳では無く、また彼を助けたかった訳でも無い。
ただ、自分に課せられた任務を遂行しただけ。
それだけだった。
私は、悪魔なのだろうか。