空を映す海
「颯太〜、休憩イイぞ〜。」
「は〜い。」
俺、佐伯颯太(さえきしょうた)いわゆるフリーター。
小さなカフェで働いてる。
(屋上行くか〜)
俺の休憩の定番は屋上。外の空気が吸えるし、煙草も吸える。
何より…
(お、いた。)
「羽海さん。」
「あ、颯ちゃん。休憩?」
振り返って、笑う。
その笑顔が、好きだ。
「はい、やっと。マスター、人使い荒いスからね〜。」
隣に並んで、タバコに火をつける。
「あはは、ごくろ〜さま」
ご褒美、そう言って俺の手にアメ玉を乗せる。
小柄な羽海さんは、手も小さくて、その小さな手をギュっと握りたい、
いつもそう思うけど、情けないことに、彼氏がいるのかも聞けない俺に
そんな勇気はない。
「羽海さんて、うまそーにタバコ吸いますねぇ」
「ん〜、匂いが好きなの。」
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