君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて
しばらくうとうとしていると、また運転席のドアが開いた。
江口さんが乗り込む音、ドアが閉められる音、、、
聞き耳をたててるくせに、目を開けられない。
その時、、、
サラリと何かが髪に触れた。
「…ん」
「あ、起きた」
江口さんは、驚くでもなく焦るでもなく、ゆっくりあたしの髪から手を滑らせ離した。
「何触ってんですか」
「サラサラだなぁって思ったから」
…じゃああたし以外の人にも、髪がサラサラだったら触るんだ。
…いや、触ればいいんだけど。勝手に。