君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて



しかも、ポニーテールが崩れてしまっているような、かなりボサボサなあたしの髪。

縛りなおそうと、ヘアゴムをとると、、、


「今、めちゃくちゃいい香りがした」

そう言って、また髪を手ぐしでとかす。
一束持ち上げたと思ったら、その髪は、そのまま江口さんの口元に運ばれた。


「だから、何してんですか」

「いい香りがするんだって」

…知るか。


「てゆうか、ここ何処なんですか」

「んー?わかんない?」

…この暗闇で、どう判断しろと言うわけ?この人は。

その時。

ザザー…っと、波の音が響いた気がした。



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