君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて
「海、、、」
「大正解~」
さ、行こうか。
そう言って、ドアを開ける江口さん。
あたしも、自然と助手席のドアを開ける。
すると、さっきよりも冷たい風が、あたしの髪の間を通り抜けて行った。
「ちょっと、おいで」
江口さんに向き直ると、片手をポケットに入れて、もう片方をあたしに差し伸べていた。
…この手を取れ、と。
別にイヤじゃない気がしたから、あたしはその手に自分の手を重ねる。
繋がった手からは、しっかりと温もりが伝わってきた。