君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて



屋上への扉を開くと、薄暗い階段が、白く浮き出るようだった。


もっと白く、眩しい世界に、踏み込んだあたしの目の前に、不似合いな黒いシルエットが見えた。

…まぁ、逆光で不似合いとまで言われるのは気の毒だけど、、、


「お待たせ。何?」

…悪いけど、はやく終わらせたいんだ。


「久しぶり、1年ぶりくらい?」

「そうだね。で、何?」

…そっちが何も言わないなら、あたしが言いたいこと言って、退散したいくらいなんだけど。


「…俺、大槻を振ったこと、ずっと後悔してたんだ」

「そうですか」

「大槻は?」



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