君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて



方向転換をして、早坂に向き直る。

その胸板に片手を置いて、うつむく。

…うぇー、、、胸が見えてんじゃん。


早坂の、満足そうなため息を聞いた瞬間、あたしは、渾身の右ストレートを、こいつのみぞおちに食らわせた。

「うっ!」


さらに、申し訳ないけど、一番の弱点と言われるところにも、膝蹴りをお見舞いした。

こちらも命懸けなので、世の男性の方々にも、許していただきたい。


そうして怯んだ隙を見て、あたしは早坂から逃げ出した。

高田が言ってた「気をつけて」は、こういうことだったのかもしれない。

…だったら止めろよ、馬鹿。



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