君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて



─今でも響いてる。


体の芯から湧き出てくるような、熱い音…

心臓の音が、かき消されるどころか余計に大音量で身体中を駆け巡る。


思い出すだけで体が火照るほど、素晴らしい音だった。


何よりそれをあたしに披露してくれた江口さんが、それを見た人は誰でも虜になるんじゃないかというくらいに格好よかった。


「マフラー、、、返さなきゃ」


少しだけ、

ほんの少しだけ、


また江口さんと会えるという確信に、胸を躍らせた。



< 147 / 344 >

この作品をシェア

pagetop