君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて



「やだっ!離してよっ」

あたしを羽交い締めにしようとする腕を、必死に振りほどこうとする。


…気付いて、気付いて、、、!


もう少しで見えると言うのに、ハーレーにまたがる、その背中は見えるのにっ!


普段大声を出さないからか、叫ぼうとしても、かすれた声しか出てこない。


揉み合いながら、なんとか江口さんの全身を確認する。

…助けて、、、っ


ヘルメットをハンドルにかけて、ふとこちらを振り返る江口さんと目が合う。

見開かれる目。

険しく移る表情。


…全てが、、、。



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