君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて
最終的に、俯いて立ちすくむあたしの頭に大きな手を乗せて微笑んでくれたのは、口元に傷を負った江口さんだった。
「こわかったね、、、」
逃げて行くように立ち去る早坂をちらりと横目で流してから、あたしは迷わず江口さんに抱きついた。
「殴り合いなんて、どんだけ体力バカなんですか」
「んー、、、明ちゃんくらい」
…松島め、あたしが筋トレ趣味だってバラしたな。
ポンポンと後頭部をたたかれる。
優しい、力に。
出会ったばかりの優しさに、酔ってるのかもしれないけど、あたしはもう、江口さんという人を、、、
好きだ。