君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて



そういえば、俺が自分で稼いで初めて買ったのが、このドラムセットだったなぁ…とか、しみじみ思い出していたころ。

───ブーブー…

「もしもし?」

「あ、大槻ですけど、、」

…大槻?あ、あぁ、明ちゃんか。

練習場から出て、バイクにまたがってから、こうして好きになった相手に会いに行けるのも、親のスネカジリだったんだな…だなんて苦笑する。


こんなことに今さら気付いて、なんとなく成長したんだと、今日は久々に実家に帰って親父と飲んでみようかと、頭の片隅で考えながら迎えに走った。



< 222 / 344 >

この作品をシェア

pagetop