君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて



好きで好きで、いつの間にか今までの恐れすら忘れるほどに好きで。

大事にしようと思った女を。

俺はこの手で守りたい。


「大槻は俺のもんだ!」

「…ざけんなよ」


若いって素晴らしい。

何度空振りしようが、何度でも繰り返し拳を飛ばすことができるんだから。

俺は、それをよけつつ、すきを探す。


一発。


俺の口元をかすって痛みを与えたことに喜んだのか、早坂は一瞬口角を上げた。

…今だ。



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