君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて
「1人?」
あたしに話し掛けてるのだろうか?
ちらっと隣を見上げると、その人はこちらをじっと見ていた。
「友達と来てましたが」
「ふっ、、過去形?」
愉快そうに息を吐くその人。
確実に高校生ではなさそう、だけど、若そうな人。
黒髪短髪、耳にはピアス、今どきな学生さんかな?
「まぁ、過去形です」
「なんで?」
「それを貴方に話さなきゃいけませんか」
心底可愛くないあたし。
ナンパってわけじゃなさそうだけど、楽しく話せばいいのに。
「あ、君の友達?」
「はい?」
振り返った先には、こっちに向かって歩いてくる美加の姿があった。