君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて



いつかもこんな会話をしたような気がして、声の方向へ振り返った。

「え、、、えぐ…っ!!」

とっさに口をふさがれ、シィ…とはにかまれたときには、あたしも状況を理解して、頷いていた。


「なんですっぴんなんですか?」

「すっぴんって…俺、化粧しないんだけど」

「いや、だってカツラ…」

「あんな派手なヅラじゃすぐ見つかっちゃうでしょ?今回は他の奴らに目立ってもらって、俺は一般客にまぎれる」

…ふーん。

来てくれたこと、ちょっと嬉しかった…なんて、言えないな。



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