君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて
顔が赤くなるのがわかる。
暗いのに、顔を見られたくなくて、またうつむく。
「ま、お前の可愛い彼女さんに怒られちゃったから、大人しく退散しようかな」
ガタンと立ち上がった江口さんは、かなりの背の高さで、筋肉質に見えた。
…つうか、室内とはいえこの季節に、黒のタンクトップにデニムっていうスタイル。
何?バンドやってると新陳代謝がいいわけ?
「じゃあね」
と去って行こうとする江口さんに、あたしはつい手を伸ばしてしまった。