君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて



顔が赤くなるのがわかる。

暗いのに、顔を見られたくなくて、またうつむく。

「ま、お前の可愛い彼女さんに怒られちゃったから、大人しく退散しようかな」

ガタンと立ち上がった江口さんは、かなりの背の高さで、筋肉質に見えた。

…つうか、室内とはいえこの季節に、黒のタンクトップにデニムっていうスタイル。

何?バンドやってると新陳代謝がいいわけ?


「じゃあね」

と去って行こうとする江口さんに、あたしはつい手を伸ばしてしまった。



< 28 / 344 >

この作品をシェア

pagetop