君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて



「ん?何?」

言われてハッとする。

どうしよう、とおろおろしていると、ふいに目の前に携帯の画面が見えた。


「アド、教えて?」



…あたしは江口奏を登録して、江口さんは大槻明を登録した。

そして、再度じゃあねと言うと、江口さんは去って行った。


「あの人、いいのかな」

「何が?」

松島が何かを言いにくそうにしている。
はっきり言いなさいよ、と松島を睨むと、観念したように口を開いた。


「あきら、あの人はいい人だよ。でも、やめたほうがいい」

「やめるも何も…」

「でも、もし好きになったら、、、」

ここで一呼吸おく。

「叶わないと思って」



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