君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて
あらかじめ暖めていたのか、車内はとても寝心地がよくて…
、、、ん?
、、、車内?
「車内?!」
「あ、起きた」
これもいつだったかやり取りしたような。
すでに両手をハンドルに、右足をアクセルにかけている江口さんの顔は、こちらを見ることはなかったけれど。
「打ち上げは?」
「言ったでしょ、抜け出すって」
「あたし何も挨拶できてない!」
「言っとく」
あたしは、パニックに陥りながらも、少しだけ安心した。
これで、サラさんとトウマさんにまた、会えるんだよね?
流れるBGMは、珍しく陽気な曲で。
相変わらず歌詞が英語だからあんまり意味は理解できなかったけど、楽しそうに鼻唄なんか歌っちゃってる江口さんを見たら、あたしもちょっと、楽しくなってきた。