君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて
時計は11時をまわっていた。
ゲレンデに向かう道、江口さんはいつも以上に口数が少なかったような気がする。
少し気になって顔を見ようとしても、、、
妙にそらされるっていうか、なんなんだろう?
「明ちゃん、お腹すいてない?」
やっと口を開いたと思ったら…
でも確かに、あたしは空腹を感じていた。
「ゲレンデに、カフェがあるんだって」
未だに、目を合わせないまま。
「…お腹すきました」
ゲレンデに近づくと、軽やかな音楽と一緒に、誰かの声が響いていた。
「まぶしい…」
雪山は、太陽に照らされて、真っ白というよりは白銀が広がっている感じで。
すごく、すごく。
「綺麗…っ」