君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて



マイクを片手に、はじけるスマイルを客に向ける、、、サラさんを見つけた。

しかも、その口の動きと、頭上のスピーカーから聞こえる声が、完全に一致している。

「サラさん、今日はここで何かリポートするんですね」

「うん、ちなみに、ブースでしゃべってるのはトウマだよ」

ふぅーん…
やっぱり、いいカップルにしか、見えないなぁ…
ああ、今回は、「聞こえないなぁ」かな。

素人のあたしでも、二人の息があってることがすぐにわかったし。


『…さぁ、今日は誰が想いを伝えてくれるのかな?』

スピーカーからの声なのに、まるですぐそこで話しかけられているみたい。

サラさんを、のんびり眺めていると、やけに目が合うことに気づいた。
その足は、こちらに向かって来ている気がしてならない。

え?

えぇ???



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