君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて



「筋肉痛って、今なるものじゃないよね!」

「それは筋肉痛じゃなくて転び過ぎでしょ」

…くっ!!!悔しい!!!

スノボって、みんなスイスイ滑ってるから、意外とできたりしてーとか思ってたのに…


「遅いよ」

あの男は、あたしの横を蛇行して、スピードを調節しながらさらっと滑っている。

「先にいけば!」

「ばかか?…またナンパされるよ?」

「別にされてもついてかないし!」

「フーン…」

本当は、別に、と、されても、と、ついてかないし!の間に、ズシャー!!!とか、痛い!とかいろんな効果音が挟まってるんだけどね。


「ほら」

目の前に止まって、あたしに手を差しのべる奏。
悔しかったけど、その手を借りないと立ち上がれない。

「ぅわわわわわわ!!!」

立ち上がった後のバランスもうまくとれなくて、目の前の奏につかまったら、二人ともバランスを崩してしまった。


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