君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて
「タイミング悪いよ、トウマ」
トウマさんの登場に、慌てたのはあたしだけだったみたいで、奏はあたしを離さないまま、トウマさんに、応答していた。
「サラさん、は…」
なんとか奏の腕から逃れて、隣にいるとばかり思っていたサラさんの姿がないことに気がついた。
「あぁ、さっきから見当たらなくてな。もし言伝てがあれば聞いとくけど…」
「あ、いえ!今日はありがとうございましたって、言いたかったので…」
「伝えとくよ」
トウマさん、少し疲れてるような?
「トウマ、またデモテープ出来たら聞いて」
唐突に宣伝し始めたこの自己中オトコの言葉に、少し表情をやわらげて、トウマさんは頷いた。