君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて



「逃がすなよ」

真剣白羽取り(トウマさんの腕を両手でおさえる)をしながら、奏が言う言葉の真意は、あたしにはわからなくて。

トウマさんが苦笑いしたとき、
あぁ、この二人の絆はかたいんだな
って、思い知らされた気がした。


「お前もな」


サラさん、やっぱりここに、いてほしかったなぁ…
この二人、本当にバカみたいにまっすぐですよ。
そっくりなの。

トウマさんは、サラさんのこと、きっと…。
きっとね。


「あの、トウマさん」

「ん?」

「サラさんに、もうひとつ…きっと大丈夫。って、伝えてください」

「え?」

「きっと大丈夫、です」

いつにない笑顔だったかもしれない。
奏が、手であたしの顔を隠すくらいだもん。
きっと変な顔してたんだろうな。



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