君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて



───カラン…


「いらっしゃいませー!」



現れたのは、江口奏。
朝まで一緒にいたっていうのに、この人暇なのかな?不眠症?大丈夫?


「あ、今日何時までだっけ?」

「9時」

「おっけー、初詣いこうよ」

「えー寝たい」

「いいじゃん、それとも一緒に寝る?」

「いやです」

「じゃあ行こう」


チャラン、と、小さな音符の針金アートをつけた車の鍵を揺らして、彼はまた、お店から出ていった。

きっと9時になったら、またこのドアを開ける。

…暇なの?




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