君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて



「うん、バンドのメンバーと食事してたんだけどね」

「目立ちそうなのに!」

「ほら、、、俺らみんなヅラだから?」


ぶっ………

あのツンツン頭も、真っ赤な髪も、ヅラってわかったら笑えてくる。


「ファンの人達とか、気付かれませんか?」

「あの人達は、俺らの表面しか見てないから。俺らの音楽を本当に感じてる人だって、あの中に1人いるか…いないか…」

「ライブハウスでやるより、もっと広いところで響かせて欲しいです…あたし的には」


にっこり笑って、頷いた江口さん。

ネックウォーマーだけで、寒くないのかなぁ、なんて、悠長に考えてたけど、よく考えたらあたしは髪の毛が長いだけで、何にも首に巻いてない…。



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