君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて



「出た。自己中オトコ」

「なんてこと言うのっ、明ってば!」

…なんてって、本当のことだし。

すると、大嶋さんが笑いだした。

「なるほどね~、江口が明さんを気に入る理由がわかったよ」

「えっ、なんすか?」

…なぜ松島はそこに反応するのだ。


「そう、俺、自己中。よろしくね」

…よろしくされたくないわ。

しかも、笑ってるくせに笑ってない。
少しくらい眼飛ばされたくらいで、怯むと思ってんの?

「なんですか」

「いや、特には」

「あるでしょ」

「いや、特には」

…じゃあいい。

「…嘘」

そう言うと、江口さんは身を乗り出してあたしの耳元で囁いた。


「大嶋に妬いただけ」



< 73 / 344 >

この作品をシェア

pagetop