君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて
「出た。自己中オトコ」
「なんてこと言うのっ、明ってば!」
…なんてって、本当のことだし。
すると、大嶋さんが笑いだした。
「なるほどね~、江口が明さんを気に入る理由がわかったよ」
「えっ、なんすか?」
…なぜ松島はそこに反応するのだ。
「そう、俺、自己中。よろしくね」
…よろしくされたくないわ。
しかも、笑ってるくせに笑ってない。
少しくらい眼飛ばされたくらいで、怯むと思ってんの?
「なんですか」
「いや、特には」
「あるでしょ」
「いや、特には」
…じゃあいい。
「…嘘」
そう言うと、江口さんは身を乗り出してあたしの耳元で囁いた。
「大嶋に妬いただけ」