君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて



しかも、お金払わせちゃったしっ!

「江口さん!」

「なに?」

「なに?じゃない!お金、払います」

「いいよ、おごりだから。…それより」


黒いX-TRAILに押しつけられる。

寒いのに、、、息も白いのに、、、熱い。

体の芯からぶわぁってくる。
…なに、何、何これ。


「レジの横に、この前なかった置物があったよね?」

「…はい」

「ドラムの置物、、、誰が置いたの?」

「…店長です」

…置いたのは。

「選んだのは?」

「…あ、たしです」


そこで、ようやく江口さんの表情が緩んだ。
あたしの手首をつかんだまま、もう一方の手でポケットを探り、車のキーを出して、背後にある黒いX-TRAILの鍵を開けた。


「今日は、車だから」

…付き合ってね、ってことですか。

…この自己中オトコ───



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