君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて



ひゅーうっ、若いねぇ。

メンバー全員で一部始終を見届け、酔っぱらいも追い払われ、店内には先ほどまでの穏やかさが戻った。


「すごくなかった?さっきの子」

小林さんが楽しそうに言った。

「…勇敢かつ熱血だな」

木田さんも笑った。

江口は、黙ってスタッフルームの方を見つめていた。



しばらくして、さっきの子がホールに戻ってきた。
パタパタと、忙しそうに注文を受けては厨房に伝え…を繰り返している。


「やっぱり、、、」


「え?」

江口がとても小さな声で言った言葉は、隣に座る木田さんにも、向かい合ったところにいる俺や小林さんにも、聞き取ることが出来なかった。



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