君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて



次の日、俺達は大学の講義室の一番後ろで、教授の話もろくに聞かずに話を始めた。


「で、何だ?」

「…俺達の音を、わかってくれそうな子に出会ったんだ」

「うん?」

「ライブハウスで、俺のドラム音と1つも間違えずにリズムをとってた子がいて…あ、正樹の友達だったんだけど」


少しうつむき加減で話す江口は、その短い髪に顔が隠せるはずもなく、ひたすら分かりやすかった。

「女の子なんだ~」

「…おぉ」


にやつく俺を、いつになく赤い顔で睨み付ける江口。
いくら目付きが悪くても何にも恐くない、その顔じゃ。



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