いつも傍には君が…。
その態度に少しイラッときて
ついついそちらを向いてしまう。
「…どこか
行ってくれないかしら?」
冷たく早口で言い放ったのにも
関わらず、改めて見た男の顔は
先程とは違い
ケラケラと笑いながら
どこか楽しんでいる
様子にも見えた。
けれど、やはり
引き付けられるような表情と
雰囲気は変わらなかった。
黒いサラサラの髪。
長い睫毛に、吸い込まれそうな
赤い目。
形の整った唇に
そこから少し出ている牙。
…と、いけないいけない。
私が引き込まれて…って……
牙!!??
もう一度良く確かめても
確かに彼には牙があった。
隠しているのか
少ししか見えないけれど…。