幼なじみの甘い××。Good night baby★
「……ハル兄……あたし、がんばる、から」
涙をこらえて、途切れ途切れの言葉を紡ぐ。
そっと……手を離して。
「は、る、兄も、がんばってね。ハルにぃ、なら、きっと……大丈夫だよ。就活も、うまく、いくよ。絶対」
鼻がひくひくする。
たぶん、相当なヘン顔だ。
「あ、たしは、ハル兄に……何にもしてあげられない、けど。ごめん、ね。……うう……」
ヤバい……こぼれる。
唇をぐっと噛んで、こらえて、息を整えて。
「ま、たね、ハル兄。ば……バイバイっ」
一生懸命手を振ったつもりなのに。
チカラの入らない指は、折れ曲がったままで。
笑顔は、きっとヘタクソで。
そんなあたしが、次の瞬間に立っていたのは、
「……っ、たく」
押し殺したようなため息が聞こえる、広い胸の中だった。