【企・雪集】真っ白な二人
「っく…」
思い出したら急に涙が溢れてきて、止まらなくなった。
「約束、覚えてたの?」
『あぁ』
綺麗な雪も、イルミネーションも、視界がぼやけて滲んでいる。
『だけど、俺達初雪見るまでに別れちゃったし。
だから、ずっと千紗と一緒に見る日を待ってた。
そろそろ雪が降るかもってニュースで言ってたし、一週間一緒にいればどっかでって思った。
俺の勘、当たった』
「――っ…どうして?あたしあんなひどい別れを告げたのに。
譲のこと、突き放したんだよ。自分の都合で」
そう、あたしは譲を傷付けた。
自分の事ばかり考えて、譲の気持ちなんて考えてなかった。
「それでもさ、俺お前の事好きなんだよね。忘れられなかった。
だから俺、千紗とまた出会えた時、神様が引きあわせてくれたんだって思った。
ラストチャンスに賭けようと思った」
あたしは大事な事を忘れていたね。