ラブ*レター
暫くして静まり返った校舎に足音が響いた。

ガラガラガラ


開けられた扉の向こうには愛しい蛍の姿。


肌寒い晩秋に
汗を額に滲ませて
肩で大きく呼吸する蛍。
その姿が蛍の必死さを物語っているようで…胸が締め付けられた。


寿「…………蛍っ」


視界がいきなり真っ暗になった。
背中に感じる力強い腕。
身体中に感じる暖かい体温。
耳元で聞こえるドクドクと言う鼓動。


私、蛍に抱き締められてる……?



寿「蛍?」


蛍「………か………な」


寿「へ?」


蛍「別れるとか言うなよ」


弱々しい蛍の声。
いつも余裕を醸し出している蛍に
今はそんな余裕すら感じれない。


蛍「俺の傍にいろよ。離れんなよ。」


私の瞳から大粒の涙が溢れては蛍の制服に染み込んで行く。


蛍「俺は別れない。別れたくねぇよ」
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