○'s Room
1章 隣の男子

隣の男子



桜が散りゆくなか、憧れの大学へ続く坂道を登る。


今日から新生活が始まる。


知り合いが少なく、同じ高校から進んだ友達は2、3人程度。

女の子は私だけだった。



あれじゃあ一緒に登校しようなんて言えるわけないよね…。



女の子が少なかったのはそれもそのはず。

寮生活しか選択できなかったからだ。


この学校は私の故郷とはかなり遠く、家から通うのはしんどい。


最初は一緒に目指していた友達も親に反対され、志望校を変えてしまった。




私は合格が決まり、親に了承を得てここに来た。



目の前に見える大学の正門の前で姿勢を正す。



どーか楽しい学生生活が送れますように!!


そう願いを込め、一歩ずつ進んだ。



式のある会館はかなり広く、座席はどこでもいいかんじだったから、適当に端を選んで座る。



「広いなぁ…」


思わず独り言が漏れる。


オープンキャンパスなどで来た事はあったが、改めて見渡すと前より広く感じる。




すると隣でクスクスと笑う声が聞こえてきた。




< 1 / 42 >

この作品をシェア

pagetop