○'s Room
1章 隣の男子
隣の男子
桜が散りゆくなか、憧れの大学へ続く坂道を登る。
今日から新生活が始まる。
知り合いが少なく、同じ高校から進んだ友達は2、3人程度。
女の子は私だけだった。
あれじゃあ一緒に登校しようなんて言えるわけないよね…。
女の子が少なかったのはそれもそのはず。
寮生活しか選択できなかったからだ。
この学校は私の故郷とはかなり遠く、家から通うのはしんどい。
最初は一緒に目指していた友達も親に反対され、志望校を変えてしまった。
私は合格が決まり、親に了承を得てここに来た。
目の前に見える大学の正門の前で姿勢を正す。
どーか楽しい学生生活が送れますように!!
そう願いを込め、一歩ずつ進んだ。
式のある会館はかなり広く、座席はどこでもいいかんじだったから、適当に端を選んで座る。
「広いなぁ…」
思わず独り言が漏れる。
オープンキャンパスなどで来た事はあったが、改めて見渡すと前より広く感じる。
すると隣でクスクスと笑う声が聞こえてきた。