○'s Room
それにしてももう春なのに夜がこんな冷えるとは…
カーディガンくらい羽織ってくればよかったなぁ…。
しばらくして、コンビニから出てきたリューちゃんと歩き出した。
─…
「はい、紅茶飲める?」
公園についてから、ベンチに腰を下ろした私にリューちゃんが言った。
彼の手にはホットの缶が握られていた。
「ホット…」
「あれっ?嫌だった?なんか寒そうにしてたから…俺のと交換する?」
「あ、ううん、ありがと。私ホットがいい」
リューちゃん、意外と周りをよく見てるな…。
気づいてくれてるなんて思わなかった。
「今日歌ちゃんと別れた後、学部の先輩に挨拶行ったら、いきなり手握られてさ〜…」
リューちゃんの話に耳をかたむける。
リューちゃん、年上に好かれてそうな感じだし
笑顔とか見ると、なんとも言えないくらい、きゅ―…ってなるから。
「でもなんとなく分かるかも」
「何が?」
「手を握りたくなる気持ちが」
「えっ…、」
「女の人ならリューちゃんの笑顔には敵わないでしょ」
「そいつー…、残念ながら男だよ?」
「男なんかい!」
「あははっ、ツッコミうまっ!」