○'s Room
「はっ、いや、ちがっ!!」
私はテンパりながらリューちゃんから体を離す。
「こらナカジー、んなこと言うと歌ちゃんが気にしちゃうだろ?」
何も慌てる様子もなく、リューちゃんが言った。
「へいへい、仲が良いことですねー」
ナカジはそう言い残して歩いて部屋に戻っていく。
「早く入りな、肌寒いだろうから」
御堂さんもナカジに続いて中に入っていく。
……なんか、意識してるの私だけ?
今度はそっちが恥ずかしくなってきた。
それなのにリューちゃんはしれっと私の手を掴んで、玄関の中に入れようとする。
私は足に思いっきり力を入れた。
「うわっ!?」
踏ん張った反動がリューちゃんのバランスを奪う。
「歌ちゃん…?」
なんか、なんかムカついてきた。
誰にかって?
そんなのわかんないけど!!
「リューちゃん」
「ん?」
やけに優しく聞返してきたリューちゃんの声。
この声を聞いたせいで、イライラが消えていく。
「…やっぱり、なんでもない」
「そ?なら入ろう」
…私って単純だ。
黙って手を引かれ中に入った。