○'s Room
驚いて振り返ると、茶髪の男の子が立っていた。
私と目が合うと、ニコッと笑う。
「隣いい?」
心地よく響く声。
「…あ、うん」
一瞬ドキッとした。
目は大きく、笑った顔はすごく素敵だった。
私の返事を聞いて、その人は私の一つしか空いていない隣に座る。
なぜか緊張してそわそわしてしまう。
「そうだ、名前何てゆーの?」
急に話しかけられまたドキッとする。
「あ、浅宮歌(アサミヤ ウタ)」
「…う?え? うた…?」
「うん、歌」
私の名前は変わってるから
よく聞き返されたりするんだよね。
私はその人の反応が面白くて、思わず頬が緩んだ。
「いいなぁ、俺もそんな名前がよかった」
「何で?」
そんなこと言われたの初めて
「だって俺、すっげ歌好きだから!」
そう言った彼の目はキラキラしてて、私も嬉しくなった。
「えっ…そうなの?私も好き!カラオケとかよく行ってて…─」
「だよなぁー、あれさ…─」
話がどんどん進んでいく。
彼の名前は高城理久(タカシロ リク)というのだと教えてもらった。
かなり気が合う人だったから、すぐに仲良くなれた。