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背中から声がかかり、慌てて振り向くと声の主はナカジだった。


｢あ、いや…その……｣


口ごもる私にイライラしたのか、ナカジはこう言ってきた。


｢なんもねぇのに目の前であからさまに萎えた様子見せんな！｣


…そ、そんなぁ…。


唖然と突っ立っていると、隣の扉が開く。


｢なにモメてんの？歌ちゃんいじめないでよ、ナカジ｣


｢うっせぇ｣


彼はちらっと私を見てから、無愛想に階段を降りていった。



残った私とリューちゃんが後を追う。



その時、リューちゃんがこっそり耳打ちしてきた。


｢ナカジ、ああ見えていい奴だから、最初は怯むだろうけど仲良くしてやってね｣


歌ちゃんを結構気に入ってるみたいだし、と付け加えて。




リューちゃんにそう言われたが、顔が近いからドキドキがうるさくて内容が頭に入らなかった。