○'s Room


いつの間にか皆でワイワイ騒いでいると、あっという間に時間が過ぎた。


「ご飯てきるから片付けろよー」


御堂さんが丁寧にお皿を並べ始めたので、私とナカジで一緒に食卓の準備をして、残りの皆でゲームを片付けた。



「…また理久君は不在ですか?」


ヤナさんが御堂さんに聞いた。

「なんにも連絡来てないんだよな。メールしてみるか」


そう言いながらキッチンに戻っていく。


「お前知ってんじゃねーの?」

ナカジが急に私の方を向いて話してくる。



さっきから考えないようにしていたのに!


「さぁ…帰りは途中まで一緒だったんですけど、リューちゃん、女の子に呼び止められてたから…」



「待っとけばよかったじゃん」

真顔で言ってくるナカジ。


「んなの気まずいし…」



ヤキモチ焼いちゃって、いてもたってもいられませんでした!!



…なんて言えるわけがなくて。



皆で話し込んでいる間に携帯をこっそり見た。

すると一件の着信が入っていた。


私は席を外し、確認するとリューちゃんからだった。


慌てて掛け直す。


2コールくらい鳴ってから、はい!と声が聞こえた。


「あ、もしもし」


《歌ちゃん!?よかった、今、家?》


「え、うん。どーしたの?皆で待ってるよ?」


携帯の向こうで車の通る音も聞こえて、外に居ることは分かった。


《あー…あのさぁ、ナカジに変わってくれる?アイツ携帯繋がんなくて…》


いーよ、と返事をしてからナカジに渡す。


何度か返答してから、ちょっとコンビニ行ってくると言って出ていった。



…どうしたんだろう。




しばらくして2人で家に戻ってきた。


玄関まで光希と迎えに行って、リューちゃんの顔を見たとき、自然と自分の頬が緩むのが分かった。


帰ってきてくれたことがやけに嬉しかった。


当たり前がこんなに大切なんだと実感した一瞬だった。


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