○'s Room
いつもなら笑ってくれるのに…。
初めて目を逸らされたショックを隠しきれなかった私は、その後、口数が少なくなっていった。
話も終わり、結局は皆でキャンプに行くことになった。
部屋に戻る途中で、ナギに元気がないと指摘されたのは言うまでもない。
「楽しそうだよね、キャンプ」
ウキウキと話すナギがやけに可愛く見える。
あーあ、私もこんなだったらなぁ。
じっと見ていると、ナギは苦笑いした。
「え、えっと…じゃ、また明日ね?」
「うん、おやすみ」
逃げるように廊下を歩いていくナギを見つめながら、ため息をついた。
そしてその夜、気分も冴えない状態で眠気が全くなかった。
眠れない…。
むくりとベッドから起き上がり、ゆっくりと部屋を出た。
無言で屋上に足が向く。
屋上は綺麗に手入れされていて、食事ができる広さだ。
そこには木製テーブルやベンチまで置いてある。
上には夜空が広がっていた。
こっちではあんまり星が綺麗に見えないんだ…。
ぼんやりと考えながら頭のすみには必ずリューちゃんのこと。
ただ目を逸らされただけで、こんなに悩むとか、変なのは自分でもわかるが、
やっぱり全く気にならないとは言えない。
しばらくその場にたたずんでいると…
「眠れない?」
座っていた私の頭上から、落ち着いた声が降ってきた。
見上げると、そこにいたのは
「リューちゃん?」
「うん、俺」
にこっと笑顔を私に向けて、隣に腰をおろした。