隣人は変人です
「なになに。恋人にしてくれるのぉ~。葵うれしい~ぃ」
「ムダに語尾を伸ばすな!!」
向き合って座る小さなコタツの上には、湯気がホカホカ出てて、甘い香りがする葵ちゃん特製のクリームシチュー。
「で。私ったら声に出てた?」
「うん。出てた。春花ちゃんはオレの恋人になりたいの?」
何? この上から目線は!!
「いいえ。結構です。変態セクハラ親父は間に合ってますから」
「ひっでぇなぁ。オレ。こんなにつくしてんのに」
言葉だけ聞くと、男女の甘い会話のように聞こえるが、ケティちゃんのトレーナーを来た彼と、ピンクの水玉のモコモコ部屋着を来た私。
内装も白とピンクと茶色でコーディネートされた乙女な部屋で、私のお気に入りのかわいいコタツに足を突っ込み、目の前にはホカホカシチュー。
傍目から見れば、高校生のガールズトークお泊まり会のような光景だろう。
実際。口では色々言ってるが、私達の間に甘い雰囲気は一切ない。まるで一見本当に姉妹のような仲なのだ。
「さっ。春花ちゃんも食べましょ」
甘い香りのするシチューは、一口食べるとすごくホッとする優しいお味だった。
私達の関係は?
友達?
ううん。何だかとっても不思議な関係だった。