隣人は変人です
変人がニイ♪


************

「では。外回りに行って来ます」

「おう! 気を付けてな」

私は代官山にある、小さなオフィスを出て、原宿を目指す。

今日の私の格好は、デニムのショートパンツに、ニーハイソックスに、モコモコブーツ。

ちょっとだけ若い子ファッションを意識して、でも派手すぎないように、周りにうまく埋もれられるような格好。

かわいいバッグのポケットからは、昨日葵ちゃんに誉められたストラップが揺れている。

今の私は、どこをどうみても会社員には見えないだろう。

うまくいけば学生? やっぱりフリーターがしっくり来るかも。

私は普段いつもこんなような格好をしている。

何故かって?

それは原宿で浮かないため。

「あ!ミカのそれかわいい~」

「でしょ? かわいいでしょう。新色だよ」

電車で隣になった、女子高生が会話を始めた。

私のアンテナがぴぴっと反応する。

そっか。アレもいいかもね。

隣で新色のマスカラについて盛り上がる高校生に聞く耳を立てながら私は頭のノートに記載した。

そう。私は女子中高生の市場調査係。それも原宿担当。

れっきとした社会人なのだ。

< 6 / 39 >

この作品をシェア

pagetop