S・S・S
*
「そろそろお昼も近くなってきました、私、サラとはまた明日♪」
――――――…背中が、寒い。
魔法は、要らないと言った。
トウマからの信頼だけで、頑張れるって、
昨日、サエさんと話してて、そう思った。
――… けれど
あたしは、ほんとうに
シュンくんに“ごめんね”って、言えるだろうか。
自分を切り売りするような
こんな、果てしない緊張感の中で
良いも悪いも丸ごと肯定してくれるシュンくんみたいな存在を…
手放すことが… できるだろうか。
――――――… 眩暈が、する。
「このあとは、お待ちかねの… DJトウマ!みんな、この後も楽しんでね♪」
なんとか気力で最後まで喋りきったけど
手も、足も、全身が震えていて。
「よく――――…、がんばったな」
ブースの出口にいたトウマが
あたしの頭に手を置いて
珍しく優しく言ったのを、覚えてる。
「サラさん!お疲れ様でした」
そしてドアの外には、
いつもと変わらないシュンくんの微笑み。
トレイには、ドーナッツとカフェオレ。
―――――… ああ、終わったん、だ・・
そう、思った瞬間、張り詰めていたものが
一気に緩んで…
ぐらり
視界が歪んだ――――――…