S・S・S
「もしかして、ここまで運んでくれたの?……ごめんね、重かったでしょ?」
「いえ、軽かったですよ。でも、びっくりしました。サラさん、抱き心地よくて。」
「えっ… な、なに?」
ビクン、と身体が震える。
立ち上がったシュンくんの手が伸びて来て、枕の両端が重みに沈んだ。
――…しまった。これじゃ、逃げ場がない。
シュンくんの、顔が、近くて。
微かな息遣いが、耳に触る。
「… シュン、くん?」
「早く、よくなって…サラさん、思いっきり、抱きしめたいな。」
「あ…… 」
綺麗な瞳であたしを捕える彼に
前髪をくるり、指で遊ばれて
不覚にも、心臓が跳ねてしまった。
ちょっ…
シュンくん。
シュンくん。
ダメです。
そんな、ストレートに言わないで。