S・S・S
白川(シラカワ)スノーリゾート。
このスキー場は、トウマがDJをしている放送局が運営している。
ラジオの前に正座して、トウマの番組を聴いていたある日、
耳に飛び込んだ、ゲレンデDJ募集のCM。
『トウマと一緒にゲレンデでしゃべろう!』
あたしが1も2もなく局に問い合わせの電話をしたのは、まだ暑さの残る初秋のことだった。
それから、幾度ものオーディションを勝ち抜いてここまで来た訳だけれど。
あたしは、喋りに関しては全くの素人で。
未だにどうして自分が選ばれたのか、不思議でしょうがない。
「なぁんで… あたし、なの、かなぁ。」
シートを書きながら、夕暮れる空を見て呟いた。
「なにが、ですか?」
「――…シュンくん。」
背後から笑いながら声を掛けてきたのは
アルバイトスタッフの、俊一くんだった。