S・S・S



まるで子どもみたいなシュンくんに

内側を、くすぐられてしまった。


どうして、こんなにドキドキしちゃうの?



・・・ちがう、恋じゃない。

これは、決して、恋なんかじゃない。




それはあるいは母性本能、というヤツだったのかもしれないけれど

その、正体を確かめるには、時間が必要で… だけど…






唇、が―――…






「シュンくん、ダ…」



「…… 病気が治る、おまじないですよ…」




そのまま、音を立てて重なった唇に

熱に浮かされたように応えてしまった、あたしは…





… トウマのこと、怒る資格なんか、どこにもない。






“おまじない”、なんて

とびきりの免罪符を差し出したシュンくんは



実は、あたしより、はるかに上手なのかもしれない、と

やわらかなキスの合間に微かに思った。




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