S・S・S









『続いてのリクエストは…The Beatles! わお!懐かしいですね。曲はHello, Good bye…』





サエさんの、明るい声が室内に広がる
午後の、医務室。


少し傾いた日の差す、その空間に
埃っぽくて優しい音が流れ込んだ。





「………」


「………」







トウマは、しばらく何も言わなかった。




ただ、じっと―――… あたしを見つめていた。

ベッドの脇に立ち尽くして、あたしだけを。



その視線に晒されている時間は、とてつもなく長いような気がして

その色に、あたしはひどく戸惑っていた。



怒り、とはまた違う

不機嫌な… 苛立ちのような… そして少しの困惑。




『色恋沙汰はほどほどにしとけよ。』


そう言われたのは、ついこの間のことで。





“シュンくんと、付き合ってる”

ねぇ、トウマも、そう思ってるの?



いま、何を考えてる――…?




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