S・S・S




「―――… 大丈夫、か?」


掠(かす)れたような、トウマの声。
いつもの、艶のあるバリトンとは違う…


その、アンバランスさに胸がキュっと苦しくなった。





その、妙な冷静さに

掠れている声に

正体のわからない感情が隠されているような気がして


怖くて、とっさに、背中を向けたあたしの耳に、微かなため息と共に信じられない言葉が届いた。











「悪かった……」








―――… トウマ?











「そんなに無理させてるとは、思わなかった。明日からしばらく、出なくていい。当分、休め。」








―――… なに、言ってるの?





< 116 / 452 >

この作品をシェア

pagetop