S・S・S



「いいから、全快するまで、出てくるな。皆にも迷惑だ。」


「…… はい」





普段だったら、こんな状況

トウマに抱き締められているだけでパニックになりそうなものなのに



熱ってすごい、

すべてがぼぉっとして、気にならないなんて。







―――― 落ち着くまで、トウマはそうしていてくれた。










「サラ。」


「…… はい」






「…… 29日までに、死ぬ気で治せよ。」


「……… 29日?」







「うちの局のプロデューサーが、ここへ来る。いいか、そん時までに完璧に治せよ。」


「……… はぁ?」




「青田買いだ。」


「……… あおたがい?」





「……… わからないなら良い。とにかく治せ。お前の部屋に加湿器届けさせるから。せっかくヤツが来ても、お前が“声が出ません”じゃ、話にならない。」






……… トウマが何を言いたいのか、よくわからないけれど。


はやく治せ、って―――…それだけは、伝わった。








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